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2010/1/10・円豪の日記念 始めから今まで(円豪)

茜色に染まった道を2人で歩く。
それはもう日常となっていた。
どんなに辛いことがあっても、いつからだろうか、円堂がいれば大丈夫だと思うようになっていたのだ。
それは自分自身でも驚くべき事だった。
いつからかこの空間は、自分の「安心」となっていたのだ。

「なあ、豪炎寺。俺達が初めて会った時のこと、覚えてる?」
「…ああ。」
「懐かしいよなぁ〜。豪炎寺が助けてくれてさ」


円堂が微笑む。
もうサッカーはしない、と自分自身に固く誓ったとき、それは絶対のものとなっていた。その筈だった。
だから、まさか自分が再びサッカーを始めることになるなんて思ってもみなかった。
今日のような茜色の中、子供たちとサッカーをしていた彼の姿は眩しくて。
初めて会ったあの時から何1つ変わってない。


「円堂、サッカーしないか」
彼の瞳を見据えると、キラキラとした輝きに引き込まれそうになる。
円堂は少し驚いたような顔をしたあと、はにかむように微笑んだ。
「いいよ、やろう」

自分たちが初めて会った場所。その空き地も茜色に染まっている。
芝生を下って、グラウンドに降りた。
自分のバックからいつも使っているボールを取り出し、ドリブルを始めた。
追い風がとても心地良い。
少しずつ円堂の待つゴールに近付いていく。
円堂の方に視線を送ると、彼は笑って頷いた。


力を込めて、シュート。


軌道に乗ったボールは彼の手の中に収まった。
「ナイスシュート!」
彼の声が自分の鼓膜を震わせて自分の中へと落ちていく。

ああ、だから。


「サッカーが好きだ」
円堂が好きだ。
この先何があっても、きっとこれだけは変わらない。
橙色に染まる彼は自分の打ったボールを受けとめ、微笑んでくれるから。

愛しい愛しい愛しい愛しい、
お前が愛しい。

だから、円堂の元へと駆ける。



ーーーあと5cmで繋がるよ。


fin


2010/1/10

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