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初詣(一土)
初詣なんてこんな寒い中行くもんじゃないっ!
という俺の訴えも虚しく。
俺たちは今、神社までの道のりを歩いている。
「あぁ〜…寒い寒い寒い寒い!」
何故だか俺は、昔から寒さに弱い。
そして土門は寒さに強い。
(何だよこれ絶対俺損してるよ)
幼い頃は、冷たい手を土門に暖めてもらっていたものだが、
今はそんなことしてもらえない。
2人っきりの時ならそれも叶ったかも知れないが
他人がいるときは断固拒否される。
(恥ずかしいって…俺は別にそんな事ないけどなぁ)
そんなことを思いつつ、俺は冷えた指先に息を吹きかける。
…全然暖まらない。
期待の意を込めて、チラ、と土門を見る。
手 繋いで
手 繋いで
手 繋いで
念を送る、送る、送る。
そして土門はこっちを向く。
目と目があう。
じぃーっ、と見つめてみる。
すると土門は
「ん」
俺に手を差し伸べた。
(…少し顔が赤くなってるのは、気のせいってことにしといてあげるよ)
暖かい君の手があるなら冬も悪くないね
Fin
2010/1/2
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