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そこにある温もり(2010バレンタイン綱立)


「なぁ立向居」
「何ですか、綱海さん」
「今日、バレンタイン」
「ええ。知ってます」

素っ気ない態度の立向居に、綱海はつまらなそうに口を尖らせる。

「チョコ無いのか」
「…何で男から男にあげないといけないんですか!」

立向居は怒ったようにそっぽを向いたが、それは怒っているわけではない。それくらいの事が分かる程度には関係を持っている。
(素直になれないやつだな…)
綱海は少し苦笑しつつ、

「…それ何?」
と立向居のスクールバッグを指差した。

「え…」
見ると、バッグのファスナーが開いている。立向居はかあっと赤くなり、慌ててそれを閉めようとした。

「もう見えた」
綱海が呟くと、
「…卑怯ですよ、こんなの」
と言い、立向居は少し躊躇いながら自身のバッグから小さな紙袋を出した。

「くれんの?」
「…あげません」
「…何で」
「俺、料理は得意じゃないんです」
だから渡せないです、という言葉の前にひったくられる。

「ちょ…!」
「これ俺に で良いんだよな?」
綱海の口調には有無を言わさない迫力があった。
「…綱海さん以外にあげる人なんていません」
立向居は顔を赤くして俯く。

「…サンキュ、嬉しいぜ」
そして綱海はふわりと抱きしめた。
自分の腕にすっぽりと収まる小さな体の温もりを感じて。
彼は嬉しそうに微笑んだのだった。


ーーーー

「本当、食中毒とかになっても知りませんからね!」
「そしたら俺の家で看病な。どこの看病かは知らないけど」
「ふざけないで下さいッ!」

ーーーーーーーーーー


fin


2010/2/14
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綱立初書き。
ツンデレなたっちーと男前なにーにが好き!

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