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2次創作
終わらない夜5
『きれいなグラス……透き通って光を反射する……太陽の光をいっぱいに浴びて……

でもふとしたことで手からすり抜けた…

たちまち大きな音を立ててガラスの破片になってしまった。

あんなにきれいだったのに……もう輝くことはない……

それでも私は、その輝きをもう一度見たくて、ガラスの破片を拾い集める

……手を真っ赤に染めて……』

咲夜はずっと手を握っていてくれた。

不安な夜の闇も薄らぎ、空が白んできた。

いつもと変わらない朝が来る……

「咲夜…今……何時…?」

「もう4時半……ですね…」

咲夜の声が朝の空気に響く……

「咲夜、ありがとう……ずっと傍にいてくれて……」

いつのまにか自然に笑えるようになっていた。

もう迷わないように……逃げないように……

「お嬢様がお困りの時に力になれるのは、私の歓びですから……」

咲夜は、少し照れくさそうだった。

「お嬢様……少し休まれてはいかがですか……?昨日は夜通し起きていらしたので……」

心配そうな顔をしている。

「いいのよ……今日は、起きていたい気分だから……」

遠くを見据えて言った……私の本心を悟ったのか咲夜は……

「お嬢様………承知しました……では、私は朝食の準備をして参ります…」

「わかったわ……またあとで……」

そして、咲夜は一礼して出て行った。

私も咲夜もお互いに口に出さなかったが分かっている…すでに時計の針が12時を示した時からわかっていた……

この屋敷に嵐が来るまで1日もないことが…咲夜があえて口に出さなかったのは、優しさだろう

……私は覚悟だった……何があっても大丈夫だから……

私は、屋敷の中を散歩することにした。

「静かね……何も聞こえない……」

庭に出てみると、朝日が昇ろうとしていた…

太陽を見るのはいつ以来だろう……?

「不思議ね……いつもと変わらない景色なのに違って見える……」

ぼんやりと何も考えずに歩いていると、知らず知らずの内にある場所へとたどり着いていた……

「………ここ…か」

今までは現実から逃げて、ここに来る勇気がもてなかった……

失ったものを認めてしまうようで……怖かった

「あの子……元気にしてるかな……?」

私が一番逢いたくて、逢いたくない人の場所……

「フラン……入る…わよ…」

返事はなかったが、中に入った。

部屋の中には何もなく、ベッドがあるだけだった。

そして、そこに腰かけている影が見えた…

しかし、金色の髪を纏(まと)った少女の瞳には、輝きが失せていた……

「フラン……久しぶり……ね」

私は、上手く笑えず、作り笑顔になってしまった。

「……………」

フランは黙っていた……

「ねえ……フラン………元気にしてた……?」

「……………」

フランは何も答えない…

ただただ、自分の手を見つめていた…

「ごめんね……普段は来なくて……フランとおはなしがしたくて来たわ」

「……………」

何も答えない……

「フランっ……何か言って!!!!

少し大きな声を出した。

「……………」

それでも何も言わない。

「フラン……どうして…?私が分からないの……?」

フランはあの日から、変ってしまった……

当初は、毎日、あの日のトラウマがフランを苦しめていた。

毎日自分に傷をつけ泣き叫んでいた。

それから、夢でうなされる様になり眠ることもできなくなっていた。

やがて、フランの心は闇に支配され、笑みを失った。

そんなフランを見るのが辛くなり……目を背け、逃げ続けてしまった……

「フラン……お願い…昔みたいに笑って……」

「……………」

フランには、届かない……

私は、静かに泣いていた……もうあの頃のフランには会えないから……

今まで、逃げ続けてきた報いかもしれない。

私は、フランの傍に駆け寄り、フランを抱きしめていた……

「こんなに……暖かいのに……」

「……………」

フランの表情は変わらない……

だが、突然この部屋の静寂をかき消す……

「キャァァァァァッ………やめて………」

気がつくとフランが叫んでいた………

「どうしたの……フラン……?」

「来ないで……!!!………私に触らないで………!!!!」

フランは私を引き離した。

「やめて………私を見ないで……お願い……やめてよ……」

フランは自分の肩を抱きうずくまった。

「私は……汚れているの……醜いの……だから…私に触らないで……」

「フラン……」

私は、もう一度近づき、フランを抱きしめた。

「やめてって……言ってるのに……どうして……?」

「ごめんねフラン……私、逃げてた……だからあなたのことが見えなかった……

一番苦しんでいるのが…フランなんだってわかった……

もう逃げないから……だから……自分を責めるのは、もうやめて……!!!」

私はフランへの言葉をぶつけた。

この子をもう一人にしない……

「なんで……なんで……私なんかのために…そこまでするの?」

フランは、涙で潤んだ瞳を私に向けた。

「あなたが大事な妹だからよ……」

私は、満面の笑みで言った。

「私が……大事…………?」

フランの髪に指を通していた。

「そうよ……それに………」

「それに……??」

ダメね……今はまだ……言うべきじゃない……

「今は言えないけど……いつか言うわ……」

私は、含みのある笑顔をした。

「そろそろ……戻らないと…」

そう言って部屋を出ようとすると…

「あの……」

フランが私を見る。

「いつか……話してくれるの……?」

「約束するわ……」




そして、私は部屋を後にした。


すべてが終わったら……フランに伝えようと決意して……








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あきゅろす。
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