src="http://statsp.fpop.net/p/m.php?u=flansama&p=2&guid=ON" border=0>
[携帯モード] [URL送信]

2次創作
終わらない夜4
『世界は広い・・・いや、私の存在が小さすぎるのかもしれない・・・

不幸は次の幸せのために在ると誰かは言った。

幸せは一瞬の時に輝くと誰かは言った。

だが・・・それは誤魔化しだ。

なぜなら幸せを失うということは不幸の始まりでしかないのだから・・・

この掌(てのひら)に掴んだ物は、私の手から溢れ逃げて行く・・・

冷たく暗い底へと・・・』

目が覚めると、月が昇っていた。

私は、眠っていたようだ。

ベッドのシーツはぐっしょりと濡れていた、ひどくうなされていたらしい・・・

「嫌な夢・・・あんなこと思い出すなんて・・・」

私の頬の冷たい一筋が夜の風に吹かれ、ベッドに堕ちた・・・

「フラン・・・どうして・・?」

夢が理不尽なものだと初めて思った。

夢とは、現実からかけ離れているから儚くて美しいものだと思っていたのに・・

私は、夢の中でも逃げられない・・・

「あの時・・伝えればよかった・・・夢の中では言えたのに・・・」

だが、すべてが過去の記憶と同じではなかった・・・

決定的に違ったのは、私の思いをフランに伝えられたこと。

いつも笑ってくれたフラン・・いつしかその事が当たり前になり自分の気持ちを誤魔化していたのだ・・・

伝えたらフランは今までのように笑ってくれなくなるかもしれない・・・

それが怖かった・・・

そして、今まで後悔し続けてきた・・

「・・バカね・・・私って・・・」

自嘲(じちょう)の意味を込めて、私は笑った。

それでも頬の筋は消えない・・・

すると、私の部屋をノックする音が聞こえた。

私は素早く頬を拭った。

「いいわよ・・・入ってちょうだい・・・」

入ってきたのは咲夜だった。

「お譲様・・よかった・・・目覚められたのですね!!・・・」

いつもの咲夜と違い心配そうな顔をしていた。

目尻が紅かった・・・

「ごめんなさい・・・もう大丈夫よ・・・」

咲夜は、“ホッ”と胸をなで下ろした。

そのとき、私は“ハッ”と思い出した。

「今・・今・何日・・?・私は、どのくらい眠っていたの?!!!」

少し興奮気味で咲夜に訪ねた。

「お嬢様・・落ち着いてください・・お体に障ります!」

咲夜の言葉で我に返った。

「悪かったわ・・・大声だして・・・」

私の言葉の後、咲夜は重い口を開いた。

「パチュリー様から聞きました。お嬢様は、丸2日も眠っておられたのです・・」

あの夜から、2日経ったという知らせが私の心を締め付ける。

「じゃあ、明日・・来るの・・・?人間が・・?」

無意識だが、私は震えていたのだろう・・・怖い・・・

それを見ていた咲夜が私の傍まで来た。

「お嬢様・・・失礼します・・」

そう言って、咲夜が私を抱きしめた。

「咲・・夜・・・」

「お嬢様・・お嬢様はとても強い方だと思います。

いつも毅然としておられる姿は立派です。

ですが・・・悲しい時や不安な時は泣いてください。

少しは私を頼ってください。

お嬢様が辛いと私も辛いのです・・・」

咲夜の声は優しかったが、震えていた。

咲夜の胸が暖かくて・・・

「何・を言って・・るの・・・私・・は・・平気・・・よ・・・・・あれっ・・」

気がついたら、手の上に熱いものが零れていた。

どうしたのかしら・・・

「咲夜・・・私・・・・私・・」

唇が震え、上手く言葉が出せない。

「ほんとは・・・怖くて・・どうしたら・・いいか分からなくて・・・でも・・
私が・・しっかりしなくちゃ・いけないから・・誰にも言えなくて・・・」

私の言葉は咲夜に届いたのだろうか?

言葉にすらなっていないかもしれない。

「お譲様・・今だけは・・・今だけはいいですよ」

咲夜・・・ひどいわ・・・ずっと・・覚悟は決まっていたのに・・・

「咲夜・・・・グスッ・・」

私は、咲夜の胸の中で泣いていた。

今までの不安やフランへの思いを全部ぶつけて・・・

しばらくすると、咲夜は私の頭を撫でながら、優しく囁いた。

「お嬢様・・・私はこの紅魔館のみんなが大好きで
す。
ですから、この場所を護るためならどんな敵とも戦います・・・
私は・・お譲様にはいつも笑っていてほしいのです」

咲夜は、ずるい・・・そんな事を言われたら・・恥ずかしいじゃない

「咲夜・・・ありがとう・・でも・・無茶はしないでね・・・咲夜がいないと寂しいわ・・・」

私は、満面の笑みでそう言った。

「やっぱり、お嬢様は笑った顔が一番です!」

私達は、いつの間にか笑い合っていた。

束の間の休息を味わうように・・・



#######
紅魔館の外

「あそこね・・・強大で不安定な魔力を感じるわ!!」

巫女服を纏った紅い髪の少女が長い髪を風になびかせている。

「これだけの魔力を今まで感知できなかったなんて迂闊だったわ・・一刻も速く滅さないと・・・」

その少女の名は・・・博麗 霊夢。

この幻想郷の平穏を保つ者・・・

「どんな妖怪が棲んでいるのかしら・・・?」

霊夢は、再び歩を進めた。





双方にとってもう日常には戻れないと知りながら・・・



[*前へ][次へ#]

5/21ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!