ティアラもドレスもきれいな宝石も、きっとわたしたちには似合わない。 小さいころからあこがれていた、お話のなかの「王子様とお姫様」はもっとすてきであまくて、キラキラしていて。とてもじゃないけどわたしたちとはかけはなれてるなあ、とわたしは横でジャンプを読んでいる彼氏の銀ちゃんをチラっとみた。…だめだ、かけはなれすぎ!銀ちゃん、わたし彼女だよね。愛しい彼女が横にいるんだよ。なのにジャンプって。しかもなにその格好。銀ちゃんはジャンプを読みながら板チョコをばりばり。こぼしてるし、口の周りはチョコだらけだし。だめだ、王子様要素が1つも見当たらない。百歩譲って王子様っぽいところというと、銀色の髪?いやいや普通は金髪だよなあ。しかもこの人の髪、ほんっとくるくる。ボサボサ。(こんな貶してるけどわたしにもお姫様要素なんて一つもない) 「王子様かあ…」 思わずわたしは口に出してしまった。 すると銀ちゃんがジャンプをおいてわたしをみた。(だからチョコついてるってば、ばか) 「なになになまえ!、銀さんが王子さまみたいって?」 「ちがいます、逆です」 「逆………え、俺お姫さま?」 「あほじゃないの、そうじゃなくて。王子さまとはかけ離れてるから、銀ちゃんが。」 「まじでかどこらへんがかけ離れてんだよいってみ直すから」 「(全部だよ、銀ちゃん)……」 「んだよー、俺はなまえ!がお姫さまにみえんのによォ」 「………銀ちゃん頭だいじょうぶ」 「まァなまえ!は俺だけのお姫さまだけどな。」 「なっ………」 わたしのくちは銀髪の王子さまによってふさがれた。 それはまるで、甘い味の毒が体を廻っていくようで。 どうしようやっぱり 王子さまっぽい格好も、きらきらした宝石も似合わないけれど 王子さまかもしれない! (もちろんわたしだけの、) 0930 (みこチャ提出) まえつぎ |