「ばか、本当にばか」 「ごめんってば」 弱々しい退の背中に包帯を巻く。でも出血が多すぎてあまり意味がない。 そりゃあわたしは女だよ。でもこれでも真選組の隊員なんだよ。退のバカ。 さっきわたしと退は見回りにいっていた。そこで運悪く過激派のテロと出会ってしまった。そいつらはいきなりわたしに刀を向けてきた。ぼーっとしていたわたしは避けれる筈もなく、あぁこりゃわたし死ぬなと諦めた。けれど退が、バカ退が、あたしを助けようと刀の前に立ちはだかった。もちろんまともに刀を受けてしまい、背中に深い傷をおった。血が飛び散った。なにが起こったのかわからなかった。過激派のやつは舌打ちをしてどこかへいった。わたしはそいつを殺そうかと追おうとしたけど退が弱々しく「なまえ!」なんて呼ぶからどうでもよくなった。 屯所に戻ったら近藤さんに怒られた。土方さんにも怒られた。沖田さんには鼻で笑われた。当たり前だ、ぼけっとしていたわたしが悪いのだ。でも近藤さんは説教は後ででいから山崎をみてやれといった。だからわたしは退の弱々しい背中に包帯を巻きながらばかばか言っているのだ。 「なんで、わたしなんて助けたの」 「ごめん」 「ばか、退のばか」 「うん、おればかだ。」 はは、と笑った。わたしは包帯を巻きおわっても背中をみつめた。退の目がこわくてみれないから。退も怒っている筈だ、なのにこの男はさっかからごめんしか言わないんだ。誤るのは、わたしなのに。なんで、なんで 「わたしなんて、死んでよかったのに」 わたしがぽつりとつぶやくと退は振り向いてわたしに怒った。そんなこと言うなよなまえ!が死んだらみんな悲しむんだよおれはなまえ!を助けたかったんだよもしあのままだったらなまえ!は死んでいたけどおれはなまえ!を助けても死ななかったじゃんかだからいいんだよ。退はそういった。こいつは本当にお人好しだなと思った。こんなときでもわたしのことを考えてくれている。まじでばかじゃないの。 「退の………ばかやろう」 「なまえ!もね」 「退が、しっ、死んだら、…」 「あー泣くなよ〜」 ばかか、わたし。なに泣いてるの。 「わたし、どうし…ようって」 退はこっちを向いてあたしの涙を拭う。 「うん」 「さっ、退のこと、すきなのに」 「うん…………うん?!」 「ぅ゙……よかったよう」 「まってなまえ!、今なんて言ったの」 退の目は怒ってるどころか優しくてわたしは思わずぽろぽろ涙と一緒に本心までだしていた。 「退のばかって言ったの、ばか」 ばかと呟く弱い声 彼はまた優しく微笑んだ。 0906 まえつぎ |