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小説
eight years later




あまりあの事を考えないように
身体を動かすことに専念する。

ヘトヘトになるまで
訓練を続けてぐっすり眠れば
明日もまた訓練を続ければいい

夢の中で
深い闇の中に落ちる

8年間で伸びた銀色の髪は綺麗に揺られながら
ゆっくりゆっくりと沈んでいく

そして
あの場所へと。

そして俺は指先でひんやりと冷たい
氷に触れる

しかし中のXANXUSに
その行為は伝わらない
目を閉じ、どこかの国の姫君の様に
眠り続ける


それでも愛おしく俺はその氷に触れる。
夢の中とは思えないほど冷たい


夢の中でも話せないのは皮肉だなと
自嘲気味に笑う

良くできた夢だ。
現実よりは近くにいれる

夢の中でなら会うことが許される
「それだけで俺は十分だぁ…」
掠れたが、声に出して言ってみる。


反応が無いことぐらい分かっているのに
やはり期待してしまう

「俺は待つぞぉ」

今は、夢が覚めるまで。

「ひとりは辛いだろ…?俺は辛いぜぇ」

夢の中なのに、涙が出る
誰に見られてる訳でもないはずなのに、
薄暗い部屋でよかったと思う。

「なぁ、……」

言いかけたところで、柔らかな朝の光に包まれる
現実では涙は流れていなかった

愚かな鮫は、もうすぐそこに 
望む光がある事を、この時はまだ知らない。







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