小説
first
俺はまたいつものように
無駄に広いヴァリアー邸の中庭に出ていた。
月が綺麗な夜だな
そしてまたいつものように
思い出してしまう
もう何年たっただろう?
移ろう季節を一人眺め後何年待てばいい?
駄目だ
思い出したくなくても
毎晩、毎夜思い出してしまう
お前が居なくなってから俺は一人で時を刻む
いつ来るのか分からない待ち人を待つのは苦痛だ
もう離してくれ
離れたくない
いろんな感情がないまぜになった雫を落とす銀の鮫
「ついていく」と自ら課した呪縛が
一人の男を苦しめる
スクアーロは一人カウチに座り空を眺める
月明かりに美しく伸びた銀髪が
なんとも言えない雰囲気を作り出していた。
これは
繊細で愚かな男と
乱暴で賢明な男の、物語
[次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!