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薔薇(BL)
ひばたん…!(雲綱)


「……さん、
…雲雀さん…!」
大好きな子の声が自分の名前を呼んでいることに気が付き、直ぐに雲雀は近くの窓を開いた。
すると外では綱吉が此方を見上げていて、雲雀の姿を見るやパタパタと手を振った。

「今からそっちに行きますね!」
なんて言葉を叫んでから、駆け出す綱吉。
「急ぎすぎて転んだりしなきゃいいけど…」
そう呟きながらも、無邪気な綱吉の姿に思わず口元をほころばせる雲雀。
綱吉が校舎に入り、見えなくなるまで見送った後
雲雀は椅子から立ち上がり二人分の紅茶と和菓子を用意した。


「…雲雀さんっ!」
階段も走って上ってきたようで息の切れている綱吉に雲雀はクスリと笑ってから、椅子に座るよう勧めた。
「どうしたの、そんなに急いで。
それに今日は授業も休みの筈だけど?」
すると綱吉は少しだけ緊張したような表情になる。
「雲雀さん!
……お誕生日おめでとうございますっ!」
「? …ありがとう」
何故綱吉が今緊張しているのかは分からなかったが、好きな子に誕生日を祝ってもらえたのはやはり嬉しかったようで、雲雀は綱吉の頭を優しく撫で始めた。
撫でられて一瞬顔を緩めた綱吉だったが、直ぐにまた緊張したような表情へと戻る。

「あの、それで、えと。
何をプレゼントにしようって考えてたんですけど、どうしても思い浮かばなくて…
だから、骸に聞いてみたんです。 そしたら……」
「ちょっと待って、骸に会ったのっ?」
慌てて尋ねた雲雀に、綱吉はキョトンとした表情になり頷く。 しかしそこで何かに気付いたような様子になり、慌てて言葉を加えた。
「あ。 でも、浮気とかじゃないですよ!
俺が好きなのは雲雀さんただ一人ですから…!」
そう言ってしまった後になって恥ずかしくなったのかうつむき、一瞬で耳まで赤く染まる綱吉。

「うん、分かってるよ。
それに僕は綱吉の浮気が心配なんじゃなくて、綱吉が骸に襲われないかが心配なだけだから」
綱吉の様子を可愛らしいと思いながらも、雲雀は話を元に戻した。
「それで骸は、なんて言ったの?」
すると綱吉は漸く顔を上げ、ポツリと言った。


「キス、しちゃえばって…」


一瞬、綱吉の言葉の意味が分からなかった雲雀は動きを止めた。
しかし直ぐに綱吉に近づき、囁くようにそっと尋ねた。



【誕生日プレゼントに、
君からキスをくれる?】



(大好きです、雲雀さん…)
(僕も、綱吉が大好きだよ)
(それじゃあ、これからもずっと一緒に居てくださいね…!)
(勿論だよ)



…Fin.




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あきゅろす。
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