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Affection...



「ちょちょちょっ、ちょっとまて!!!」

声が聞こえたのは、その声の主が通う男子校の校舎裏。
あ、ヤベ。『ちょ』言い過ぎたー///と内心恥ずかしくなっている平凡な少年は、目の前の人物に焦りを浮かべていた。

「ダメだ。待てない。」

その目の前の人物は、そう言うと、ジリジリと少年を壁際に誘導させていく。
少年はそれに気付かないまま後退する。

「なっ!?今までは待ってたじゃねぇか!」

待てないと言われたこと、背が壁につき顔の両脇に手を付かれ逃げられなくなったことの両方に驚き戸惑いながらも、言葉を張上げて返す。
自分で墓穴を掘ったことも知らずに。

「そうだ。“今まで”待っていた。もう、いいだろ。」

「もはや“?”も付いてねぇし!ちょっ、こっち来んな!あっち行け!!」

少年は眼前に迫る凛々しい顔から目を逸らし、その胸元を押し返す。

「無理だな。いい加減、俺にヤられろ。」

がしかし、そんな抵抗を露程にも思っていないように男の欲情した顔が近付いていき、


「――っ!んっ、んぅ、や、やめろっ!」


少年と男、基、この学園の風紀委員長の唇が軽く重なりあう。

少年は必死で顔を退けさせ、上目遣いで睨む。それが尚更男を煽っているのだが、全く気付く様子はない。

「無理だと言っているだろう。――要」

不意に、男は少年の名を呼び頬に手を当てる。

「!」

少年――要は、その大きな手にビクリと肩を震わせる。

「要、好きだ。」

男は要の黒く綺麗な瞳をジッと見てハッキリとそう告げた。

「な、に、いきなり‥‥。」

要は突然の告白に驚きを隠せない。

「いきなり、ではない。ずっと前からだ。要、好きだ。」

「ぅっ///」

あまりにも直球な言葉に要の方が恥ずかしくなり、顔が真っ赤になっていた。

「好きなんだ、お前が」

「っ・・・・」

息が詰まる。

「だから、付き合ってくれ」

「―――」

どちらも男なのにと思った。

けれど、嫌な感じはしない、から、

「……ダメ、か?」

「――っダメ、じゃ、ない!」

反射的に言い返してしまった要は、しまった!とばかりに顔を歪める。

「!ホントか!?――っ要!」

男は言うや否や、ガバッと要を抱き締めた。

「ぅあっ!?・・・う、ダメじゃ、ないさ。けど…・・‥」

いきなり抱きつかれた要は、さっきよりもタジタジになりながら弁解しようと言葉を続ける。

「けど?」

首を少し横に傾け尋ねてくる委員長は、仔犬のような雰囲気を出していた。

それに可愛いと思ってしまった要は、尚顔を赤らめ口をパクパクさせた。


「……は、

恥ずかしいんだよ!」

やっと出せた言葉は、自棄になっているようで声が大きかった。

「!!!」

だが、そんな大声など気にもしない委員長は、その言葉の方に驚いていた。

「こ、こんな、何にも取り柄の無い平凡なオレが「お前は十分可愛い」

要が最後まで言う前に委員長はソレを遮る。

「っ、こ、こんな、カッコ良いヤツとつ、付き合う、なんて、釣り合わな「釣り合う釣り合わないの問題じゃない。好きか……きらいかの問題だ。」

「ふっ、なんでそこで苦い顔、すんだよ。」

何度も自分を卑下する要の言葉を遮り、最後は苦しそうに顔を歪めて言う。そんな委員長を見て少し顔を綻ばせ、今度は要が彼の頬にそっと片手を当てる。

「・・・・・・」

その手の上に無言で自分の手を重ねる委員長。

「・・・ぅん、そうだよな。釣り合うか釣り合わないかじゃないよな。」

「わかったか?」

やっと理解したか、と呆れた、しかし嬉しそうな顔をした委員長は優しく問う。

「うん、オレも隆臣のこと、す、好きだよ。」

ずっと名前を呼ばなかったのは、いや、呼べなかったのは、要なり意地があったからだった。

「かなめ…。」

やっと名前を呼ばれ要の本心を聞けた委員長――否、隆臣は、甘えた声で名を呼ぶ。

そして、




「んっ、」

2回目のキスをする。



「かなめ、愛してる。」
今度は、先程よりゆっくり、深く、優しく。
キスだけで全てを愛でるように...

「んンっ、はっ、あっ、おれ、も」

酸欠で途切れ途切れになるが精一杯に返す。










 愛してる。
(何回も言うのは恥ずかしいから言わないけど)


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