雨の日からの日課
7
それを考え続けて一ヶ月近く経っている。
最近、通学時は彼女とほぼ毎日のように会い、視線を交わす。
恐らくだが彼女も、自分と同じようにスピードと時間を合わせてくれているのだろう。
互いにそうしているのだから、今のペースを崩しては会えなくなってしまうだろう。
だから、速く学校へ行こうとは思わない。
実は、あの日以来、彼女と言葉を交わしていない。
まだ彼女の所属する部活動やクラス、名前すらも分かっていない。
ただ分かっているのは学年。
目に入った、自転車に貼られているステッカー。
所属高校や自転車通学の許可などを示すもので、学年ごとに色が違う。
彼女の色は赤。…つまり彼女は二年。
考えているうちに、彼女が向こうの車線にやって来た。
また視線を交わして、微笑み合う。
話しかけてみようか、彼女が此方の車線に来た時に。
突然そんなことをするなんて不自然であることに変わりは無いのだけど、なるべく自然な方向で話を進められないか。
あの時は有難う御座いました…とか。
でも、今更だよな。
結局、不自然なものは不自然だ。
だけど、あの彼女なら、どんな話でも微笑んで聞いてくれるだろう。
そんな期待を胸に、彼女と同じスピードで自転車を進めた。
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