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雨の日からの日課
6
そんなことがあってから、通学時に『彼女』を無意識に探そうとする自分が居ることに気付いた。

あの日は雨で部活が無かったから彼女と会ったのかも知れない。

だから見つけるとしても容易ではないだろうと思っていた。


だけど結局は同じ高校で、同じ坂道を通って来ている。

あの雨の日から数日後の行きの道…何時もの坂を上った後の橋で、反対の車線の歩道で見つけた。


思わず、じっと見つめていたら、相手も此方に気付いたようで、あの時のように、にこりと微笑んでくれた。

自分のことを覚えていてくれているのだということが嬉しかった。


それから彼女は此方の車線へ来た。

俺は、彼女を見つけたことは嬉しかったのだが、その後に話しかけようとか、そういうことは考えていなかった。

何をどのように話して良いのか分からない。

彼女の方からも特に話しかけられることは無く、とりあえずは同じ道を一緒に通って、学校に着いた。


その次の日は、帰りの道でも見かけた。

多分、今まで似たような道を似たような時間帯で通っていたのだろう。

そんなことを考えながら、また彼女と視線を合わせる。

彼女はまた微笑んでくれた。

その後、彼女は、坂を下った先の交差点を真っ直ぐ進んで行った。


違和感を覚えずにはいられなかった。

その後も度々通学路で見かけ視線を交わすことが多くなったが、帰り道で坂を下った後、彼女は必ずその交差点で曲がる。あの時と違って。


たまたまだろうか。

だが思い返すと、彼女があの日、此方に来ていたことは、全くもって無駄なことだったのだろうと気づいた。


だとするならば、どのように受け取れば良いだろうか。

彼女が迷惑に思っていたと受け取るのか、それとも…。

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あきゅろす。
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