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雨の日からの日課
3
それは、入学して二週間も経っていないときの事だった。

まだ、そのときは、あの坂にも高校生活にも慣れていなかった。

中学までは地域の学校に通っていたから、まだ学校が近い方だったけど、高校はそういうわけにはいかない。

確かに一定範囲内の高校ではあるのだが、通学時間は中学のときの比ではない。

自転車通学なのは変わらなかったが、時間は二倍以上にもなった。


だが、自分で決めた高校だった。

爽やかで自由な校風、そして、穏やかで時間がゆっくりと流れているような雰囲気にも惹かれた。

担任には、もっと上を目指せるだろうに、などと言われた。
その言い方は、俺の心に暗い影を落とした。見下すような目は、今だって忘れられない。

だけど、上を目指すことが人生の充実とは限らない、と、親は言ってくれた。


その言葉の意味は未だに分からないけど、見つけてみたい、と思った。出来れば若いうちが良い、と。



…多分だけど、俺はもう、その端っこを見つけているのだと思う。

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あきゅろす。
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