雨の日からの日課
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雨の日というのは、何時もよりも疲労を感じさせる。
その一番の原因は、やはり湿気であると思う。
あのジメジメした感じは時に、雰囲気だけでなく汗として、知らぬ内に体力を奪っているのだろう。
そのとき俺はカッパを着てたけど(傘差し運転が校則違反とかあるかよ…)、ある程度は直接防げる雨の雫とは違ってたちが悪い。
その日も、少し動くだけで制服がベタベタと引っ付いてきた。
そして空に浮かぶ灰色の雲も、鬱屈したような雰囲気を連想させて、またさらに気分が暗くなる。
長い家への道のりが、より一層長く感じた。
行きのときに上りだった坂は、帰りには下りに変わる。逆もまた然り。
行きのときには有難く思った下りの坂…今は上りの坂が近付いてくるにつれ、あの坂だ、とまた憂鬱になる。
息をあげながら上りきって、息を整えながら橋を渡る。
自動車が、車道の端の方に溜まった水を跳ね飛ばしながら走っていて、その水が飛んでくる。
これぐらい濡れたって家で乾かせば問題ないけど、水が飛んでくると、やはりイラッとくる。
こんな雨の日でも、自分のように自転車で下校している者も居たが、晴れの日の半分にも満たない。
傘を差しながら歩く者も、進むにつれ少なくなっていった。
だが少数はいるわけで、ぼんやりしていたらぶつかってしまいそうになった。
視界が悪い。
見えないわけではないのだが、カッパの帽子が大きすぎて目の前にまでかかっているのだ。
だからと言って帽子を取ると、顔に雨の雫が降りかかって、それこそ目を開けるのが辛くなる。
帽子は被ったままにしておくことにした。
とりあえず橋を渡り終えると、下り坂が近付いてきた。
このジメジメした感じから抜け出したかった。早く風が欲しかった。
恐らく雨に激しく打ちつけられるだろうけど。
坂を下っていく。
案の定、雨が痛かった。
だけど、あの透き通った涼しい風もあった。
まだジメジメした感じは残っていて、期待通りにはいかなかったけれど。
早く家に帰りたい。そんなことを考えながらぼんやりしていた。
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