お題小説
C
前を向いてしまった彼の表情はわからないが、きっと顔は真っ赤なのだろう。
幼なじみであるから、それぐらいは察しがつく。
彼が自分を意識しているのも知っている。
でも―――。
(好き、っていう結論まではいってないんだろうな)
気持ちの整理ができていなくて、慌てるわさびが可愛いので、もう少しこのままの関係でいようと思うのだ。
「自分で気づいてね」
わさびに聞こえないよう、小さく呟いた。
わざわざ気づかせるようなことはしない。
(ちゃんと、わさびの口から「好き」って聞きたいから)
その日がいつになるかわからないが、期待し、気長に待とう、とマヨは思った。
「おーい、マヨ。おいてくぞ」
前を行くわさびは足を止め、マヨを呼んだ。
「あ、待って」
そこで想像を止め、わさびの元まで掛けていった。
―――ねぇ、その気持ちに気づくまで、とりあえずは、この関係のままでね
Fin.
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