お題小説
B
わさびはよく、ケンカを売られる。
『売られたケンカは買う』
それがわさびのモットーでもある。しかし、決して自分からケンカは売らないのだ。
わさびは目つきが悪いだとか、髪の色が緑で派手、などといった理由で不良に見られがちなのだ。
実はとても優しいのに、皆が気づかないだけなのだ。本当のわさびを知っているのは、数えるほどしかいないだろう。
しょうがはというと、1つ上の学年にいる不良である。目が合うだけでケンカを売ってくる、というウワサがあるほど畏れられている。
顔は傷つけず、腹部などを狙って攻撃するのが、彼のケンカである。見える所に傷はあまり作らないのだ。
そんなしょうがに、わさびは1週間に2回ほどはケンカを売られているという。
「お腹は...大丈夫?」
そ、と軽くわさびの腹部に手を当てる。
「っ...!?」
わさびは勢いよく離れてしまった。
2人の距離は先ほどより離れていた。
「や、腹は...、鍛えてる、から.....大丈夫だ」
言葉をつっかえさせながら、わさびは答える。
「そう。良かった」
「そ、それより、早く帰ろうぜ?」
さっさと足を進めるわさびに、小走りで追いかけた。
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