お題小説
one
「おはようございます、坊ちゃん」
わたくし―――角中 守夜の仕事は坊ちゃんを起こすことから始まります。
もちろんそれより前に、たくさん仕事はやっておりますが。
「う"ー。うるさい、守夜...」
坊ちゃんはとにかく、朝に弱い。坊ちゃんを起こすだけでも一苦労です。
わたくしがお仕えするのは、王龍寺財閥の跡取りである、呉羽様でございます。
王龍寺家は戦後から続く大財閥の1つで、主に貿易やホテル業を営んでおります。
国内で名前を知らない人はいないほど、有名な家なのです。
「坊ちゃん、今日もご予定が入っていますので、起きて下さい」
「.....『坊ちゃん』言うな」
そう言ったきり坊っちゃん―――いえ、呉羽様は起きようとはしません。
では、仕方がありませんね。
「呉羽様。本日の朝食に桃のコンポートをご用意しておりますが」
「―――、もも。...わかった起きる」
呉羽様は大の桃好きでいらっしゃいます。
食べ物につられて起きるとは、呉羽様もまだまだ子供ですね。
まぁ、そこが呉羽様の可愛いところでもあります。
本日の呉羽様のご朝食は、スコーン、ミルクロール、クルミパン、サラダ、シリアル、そして桃のコンポート。
呉羽様は好き嫌いが多くいらっしゃるので、ご朝食は多種、用意しております。
もちろん、お飲み物も同様ですよ。
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