お題小説
五
それから何も起こることはなく非現実的な出来事は奏多の頭の中から離れていった。
今では、大会を目前に控えているので、前よりも部活に励んでいた。
「奏多、帰ろうぜ?」
「あー、ごめん。活動日誌書かなきゃ。先に帰ってていいぜ」
「分かった、また明日な」
いつもは一緒に帰るのだが、活動日誌は書くのに時間が掛かるので、先に帰ってもらった。本当ならば、部活中に書くのだが今日は当番ということをすっかり忘れていたのだ。
何となく奏多が視線を上げるとそこには―――――。
「ごめん。やっぱり無理みたーい」
「お前っ」
そこには、前にも見た『天使』がいた。
と、いうことは、この間のことは夢ではなかったのだ。
「あ、この前の子がいなーい」
天使は辺りをキョロキョロと見回す。
「この前の子...って、琉希に何があったんだ?」
「まだ起きてないよー。うーんと、未来形?」
首を傾げ、可愛く言うが、全くもって、可愛くなどない。
「いつだ」
「それはナイショ。でも、僕はちゃんと謝ったからねー」
楽しそうに言うと、また消えてしまった。
「何だよ、アイツ...。―――っ琉希!」
活動日誌が書き途中であったがそのままで学校を飛び出した。
通学路を走っていると、突然、携帯電話が鳴った。
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