お題小説
三
突然、右側から1台の車が突っ込んできたのだ。
一瞬の出来事だった。
しかし、全てがスローモーションのように過ぎていった感じがした。
右側にいた琉希の姿が車と共に前方へと移動していた。
琉希がお気に入りだと言っていた、羊のストラップが血だまりのなかへと消えていく。
―――奏多の耳に響いたのは、誰かの叫ぶ声。
「―――――――!」
否、
それは自分のものであった。
―――あの時、眼鏡を取りに戻っていたら?
―――あの時、自分が右側を歩いていたら?
だから。
だから、願ったのだ。
―――時間が戻れば、と。
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