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お題小説


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8月上旬。
夏休みにも関わらず、多くの生徒は部活動に励んでいた。

その中でも今年、力を入れて取り組んでいるのは、5年ぶりに県大会出場が決定した、陸上部である。

「琉希! そろそろ上がろうぜ」

陸上部部長の柚純 奏多(ゆすみ かなた)は、副部長であり、親友でもある焔 琉希(ほむら るき)に声をかけた。

今日の部活では顧問は来ないことになっているので、部長である奏多が仕切っているのだ。

「そうだな。じゃあ、あと1回だけタイム測ってからな」

琉希は短距離走の選手である。地区大会では1位という記録を残すほどの実績があるのだ。

その後、琉希のタイム測定にそれほど時間はかかることなく、さっさと片付けを済ませると、2人仲良く家路についた。

「琉希、またタイム更新しただろ?」
「ああ、さっきのやつな。まぐれ、ってことも考えられるけど...」

他愛のない会話をしながら、2人は足を進める。
こうして歩く通学路は、今年で3年利用したことになる。

「あ、ヤベ」
「ん? どうした、奏多?」
「学校に眼鏡忘れた」

近眼ではないため、部活中に眼鏡は必要ないが、遠眼なので勉強をする時に使うのだ。

取りに戻るか、と琉希に尋ねられるが、予備が家にあるので戻ることはなかった。



2人がちょうど交差点に差し掛かった時、事件は起きた――。


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