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お題小説
さん

「聞き取り能力が低いかな」
「やっぱり。...じゃあ、今度持ってきて。直すから」

予想していたことだった。
実験中に試したことだが、聞き取り能力が低いため、違う物が出てくることがしばしばあったのだ。

実用化する前に、夜に試作品を渡しておいてよかった、と衣穂菜は思った。

「了解、今度な。...ロボット、そろそろ起動できるか?」
「もうちょっと。―――ん、準備完了」

やっと準備が完了する。
そして、起動ボタンを押した。



「―――虎斗、起動!」



しばらく経たないうちに、虎斗と呼ばれたロボットの目がゆっくりと開く。

「お。成功だな、衣穂菜! 猫のロボットか」
「―――っ! 猫じゃナイ! 『虎』ダ、このドあほ!」

『猫』という言葉に反応した虎斗は、勢いよく夜に飛びかかった。

爪が付いているため、薄くではあるが、彼の顔に傷ができていく。

「痛っ。コイツ喋るんだな」
「もちろん。可愛いでしょ? 虎斗ー、おいで」

手を広げれば、喜んで飛び込んできた。
行動は全く問題なく作動していて、安心する。

とりあえず、目立つ問題点はなさそうだ。

「主、主! 何か仕事はあるカ?」
腕の中で虎斗は訊いてくる。

目がキラキラと輝いていて、自分で作ったものといえど、すごく可愛いと思った。

親ばか、というものだろうか。

「そうだな。初仕事は何を頼もうかな」

「おい。それより、まず寝ろ。何日寝てないんだ?」
心配そうに夜が尋ねる。それには、呆れも若干含まれているようだった。


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