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お題小説
にい

「『先生と生徒』って響きがいいと思わないか?」
「思わない」
衣穂菜は冷たく、即答した。

さらっ、と恥ずかしい台詞を言う夜にまだ慣れない。

言っていて恥ずかしくないのだろうか。いつもそう、疑問が浮かぶ。

「それより、今回は何を作ったんだ? ...ぬいぐるみ?」
「違う。家庭用ロボットに決まってるでしょ。裁縫は得意じゃないし」
「へぇ、これがロボットか。触り心地は完全にぬいぐるみだな」

夜は人差し指でロボットに触れる。

見た目も感触も、言わなければロボットには見えない。しかし、今までにない機能が満載なのだ。

大きさは30pほどで、重さもたいしてない。それに力は強く、100sの物でも簡単に持ち上げることができるのだ。

従来のものは人型で、力はさほど変わらないにしても、動きが緩慢だとか、大きすぎるなどの声があった。

そこで、今回の作品はそれらを解消して、出来たものだ。

「今から起動するね」
「実用化可能?」
「ううん、まだ。これは試作品だからね。様子見て、改良すると思う」

人型ではないため、器用さがどれほどのものなのか分からないのだ。一応、設計時に注意したところではあるが、それでも不安はある。

なにしろ、家庭用ロボットを作ったのは初めてのこどだからだ。

「改良で思い出した。あの...名前忘れたけど、あのロッカー改良してくれよ」
「ああ、『簡単☆呼び出しロッカー』くん。どこか問題点あったの?」

簡単☆呼び出しロッカーとは、夜が持っている試作品のロッカーのことである。

フタ付きロッカーで、すいか大の物なら、ある程度入る優れもの。それに、中に入れた物の名前を言えば、自動的に出てくるのだ。そのため、中を整理する必要は一切なしだ。

―――――ただ。


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あきゅろす。
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