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お題小説
いち

小谷家 地下研究室―――。


「完成した.....」

小谷・R・衣穂菜は、目の前の完成した自分の発明品を見つめながら、満足感を含んだ呟きを漏らした。

ずいぶん前から研究していたものが、やっと形として出来上がったのだ。
正常に起動したら、成功だ。

しかし、自信はあるので、期待がふくらむ。

「よ、先生。また研究室に、こもりっきりか?」
突然、後ろの扉から1人の男が入ってくる。

「...夜。勝手に入って来ないでよ」
眉間に皺を寄せ、衣穂菜は振り返る。

彼はインターホンを鳴らさずに、いつもここまでやって来るのだ。

以前にも同じことがあり、注意したのだが。
鍵が開いていたから、と悪びれた様子もなく言われたのだ。

自分の不注意ではあるが、一応断って入って来て欲しい。

「まぁ俺と先生との仲だろ?」
ニヤリ、と笑みを浮かべて言うのは、真仲 夜だ。

「プライベートでは『先生』って呼ばないで、って言ったよね? だいたい同い年なんだし」

夜とは、同じ大学の先生と生徒の関係であり、ご近所さんであり―――――恋人同士なのだ。

SS大学 理工学部の准教授である衣穂菜、その学部の3年の夜。

付き合いは彼が1年生だった頃からである。

小さい頃から勉強ばかりしていたので、恋愛には疎い方であった。
そのためか、海外の大学で飛び級し、18歳で大学を卒業することが出来た。そして日本に帰ってきてから、大学に就職したのだ。実績も認められ、今の地位についたのだ。


そして就いたその年、夜に出逢った。

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