十六夜月の秘密
4
「不思議な奴だ。毎日、何不自由なく暮らしているのに。いくら平和とはいえ、街には食も家もない奴はいっぱいいるんだぞ」
「.....」
「ま、他人は関係ない、と?」
「そんなことっ...」
ない、とは断言できなかった。
自分のことばかりで、他人のことは考えていなかった。先ほどの言動は彼らに失礼なことだったのだろう。
「別にいいさ、気にするな。どうせ、死ぬんだから」
カイルは目の前の刺客―――クロを見つめる。
本当に殺したいのならば、さっさと殺せばいいものを。なぜ、ここまでこだわるのだろうか。
全く、相手が何を考えているのか分からなかった。
「これから毎日、来る」
「.....え?」
クロが何と言ったか理解するのに、暫し時間がかかった。
「毎夜、ここにいろよ」
分かった、と返事をする前に、クロは部屋から消えた。
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