十六夜月の秘密
1
翌日 夜―――。
「クロ! 今日はいつもより来るの早いね」
カイルは嬉しい気持ちでいっぱいになり、すぐさまクロに駆けよる。
「そうか?」
と、クロは微笑して応えた。
「あ、喋り方が『男』になってる」
昨日会った時と口調が違う。初めの頃と何ら変わりない。
しかし、昨日の口調の方が本当のクロのものなのだ。そう思うと、少し違和感がある。
「まぁ、この格好の時はクセでこういう風になるんだよ」
ふーん、とカイルは軽く相槌を打った。
「そうだ、訊きたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
何でも訊いていいぞ、とクロは付け加える。
もし、こんなことを尋ねてしまったら、クロに嫌われてしまうかもしれない。しかし、訊かないことには、胸の辺りかまモヤモヤとして気持ち悪いのだ。
カイルは意を決したように、口を開いた。
「クロは殺し屋って言ったけど前に何人殺したの?」
「―――――.....、」
その質問に、今まで笑っていたクロの表情が一瞬にして固まる。
そして気まずそうに目を逸らした。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!