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十六夜月の秘密


「あー、ごめん...?」
「ま、いいわ」

クロはため息をつきながら、言った。そして、1度言葉を切り、続けた。


「そうだ。ハナに会う? すっごく可愛いんだよ」

「会いたいな...。でも、そろそろ城に戻るよ。いつまでもテンを騙せないからね」


本当はもっと、クロと話していたかったが、あまり長く居てはいけないだろう、とカイルは思った。

それに、城に戻る時間も考慮しなければならない。


「ほんと『優しい人』ねー」
「今夜、その...ハナちゃん? 連れてきてよ」
いつも来るように、一緒にハナも連れてこればいいのだ。
と、カイルは考えた。


しかし、クロの答えは―――。


「今夜は行かない。今会ってるしね」
「そっか。じゃあ、また今度ね。またね、クロ」
ハッキリと言われては、これ以上要求できなかった。


「うん、また...」


少し寂しかったが、カイルはここでクロと別れた。


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