十六夜月の秘密
4
「あー、ごめん...?」
「ま、いいわ」
クロはため息をつきながら、言った。そして、1度言葉を切り、続けた。
「そうだ。ハナに会う? すっごく可愛いんだよ」
「会いたいな...。でも、そろそろ城に戻るよ。いつまでもテンを騙せないからね」
本当はもっと、クロと話していたかったが、あまり長く居てはいけないだろう、とカイルは思った。
それに、城に戻る時間も考慮しなければならない。
「ほんと『優しい人』ねー」
「今夜、その...ハナちゃん? 連れてきてよ」
いつも来るように、一緒にハナも連れてこればいいのだ。
と、カイルは考えた。
しかし、クロの答えは―――。
「今夜は行かない。今会ってるしね」
「そっか。じゃあ、また今度ね。またね、クロ」
ハッキリと言われては、これ以上要求できなかった。
「うん、また...」
少し寂しかったが、カイルはここでクロと別れた。
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