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十六夜月の秘密


「あ。こっち、こっち」
「えっと...。こんにちは。クロの知り合いですか?」

と、女は名乗ることもせず、カイルを見つめた。


「敬語なんて...。
ほら、わかんないかなぁ」
「.....?」


「ひどいなぁ。よく見て。








―――あたしがクロだよ」



ぴた、とカイルの動きが止まる。


「え、えぇ!? クロって、あの『殺し屋』のクロ?」
「しー、声が大きいってば」

大声を出したカイルの口をクロは手で覆った。


「う、ごめん。
 それより本当にクロ? 男だと思ってた...。喋り方も全然違うし」

「なんか、あたし。朝のカオと夜のカオがあるみたい。昔、そう言われてさ」


クロは微笑し、すでに注目していた飲み物に口をつけた。


確かに、昼と夜のクロではかなり印象が違う。笑い方が全く違うのだ。


「だから、男言葉を?」
「いや。本当はバラしても良かったんだけど、カイルをからかうのが面白くってね」

「ひどっ」

「でも、あたし。『男』だなんて1言も言ってないし、1人称だって使ってなかったでしょ?」



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あきゅろす。
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