十六夜月の秘密
1
―――ある昼下がり。
全てを白で囲まれた部屋は、暖かいやわらかな日差しで包まれていた。
部屋にはクスクスと女性の笑い声が響いている。
それ以外は物音1つしない。
―――と、今まで笑っていた女性が口を開いた。
「本当に面白いと思わない?」
問いかけてはいるが、相手からの返答はない。
「鈍感なのよ。それに、残酷」
それでも女性は話し続ける。
まるで、相手の返答は元から期待していないように。
「忘れられるのは、これほど悲しいものなんだってね」
彼女の表情は悲痛を浮かべていた。
「お見合い、してみる?
―――ハナ、」
「........」
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