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十六夜月の秘密


カイルは数年ぶりに城下へ来ていた。

クロに薬を飲まされて、次に起きた時には、夜が明けていた。


昨夜は床に倒れたはずが、ちゃんとベッドの上に寝ていた。きっと、クロが運んでくれたのだろう。

枕元にはクロからの手紙と地図が置いてあった。


手紙の内容は、城を出るときは絶対にバレないようにしろ、といったものだった。

その指示通り、カイルは気分が悪い、と人払いをして、部屋に侍従を近づけさせないようにしてきた。

しかし、部屋にいないことがバレるのは時間の問題であった。


1番、鋭いのは―――――、


「テンだよなぁ...」

せめて大事にはならないことを祈っているのだ。


そんなことを考えているうちに指定された場所にやって来た。

中に入ると、人はまばらで、それほど混んではいなかった。


カイルはクロを探そうと、キョロキョロと辺りを見回した。

今は姿がバレないよう、フードを被っていて、視界が悪い。


「あ。こっち、こっち」
と、奥の方で手を振る女の姿があった。

手招きをされたので、カイルは歩み寄っていった。

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あきゅろす。
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