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十六夜月の秘密


黒い影が1つ、夜の街で飛ぶ。


「月が明るすぎる」
鬱陶しそうに月を見上げ、舌打ちをする。

動きは俊敏で、誰の目にもとまることはない。


影はある1点を目指していた。
それは『城』である。


「初仕事にしては、荷が重いな...」

初めてのターゲットが『王子』だとは思いもしなかった。


影は刺客として動いている。
依頼内容は王子を殺すこと。


さっさと終わらせよう、と影は心に決めた。


「花にかまってやらなきゃな」
影は一旦足を止め、目の前にそびえ立つ城を見上げる。


「警備、うすいなぁ...」
ニヤリ、と影は笑う。

実際、この国は平和である。小さな問題はあるだろうが、特には気にしてはいないようだ。しかし一歩、隣国へ行けば『平和』と言うのは厳しいだろう。

「いいねぇ、『平和』」

静かに壁に手を掛けると、音もなく、王子がいるという塔のてっぺんを目指していった。


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