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OGRE


萩は一気に駆け出した。

藍次の方は風のせいで、前には動けずにいた。



あと僅か、と迫ったところで風を抑える。


呆気にとられた藍次は、バランスがとれず、上体が前に傾(かし)いだ。
その隙を逃さず、上体に切っ先を持っていく。


しかし剣の切っ先は、相手の物に止められてしまった。



「やることがお見通しだよ」
すれ違いざまに、彼は言った。


そして肩に熱いものを感じた。
その部分に触れてみると、手は赤く染まった。


こっちから仕掛けたつもりが、逆にやられてしまった。どうやら藍次は、両刀で向かってきていたらしい。


傷口を押さえ、止血を試みる。

しかし、藍次はその時間さえ与えてはくれなかった。チャンスとばかりに近づき、次の攻撃態勢に入っていた。





――もう振り返る余裕もない。



と、萩の体が素早く動く。


藍次が振り下ろした剣は萩に当たることなく、地面に突き刺さっていた。


萩は、彼から2メートルほど離れた場所に立っていた。


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