雨のち晴れ。
A
私は松原千紗(マツバラチサ)。
つい先日高校3年になったばかり。
放課後に担任の月島先生に呼ばれたのは、先日進級早々にやったテストの事。
進学に関わるテストだったんだけど、結果は散々…。
すでに進学先、行きたい大学がある。
理由は簡単。
好きな人といたいから。
そんな安易な理由だ。
「千紗、終わった?」
「うん、待たせてごめんね」
待っていたのは私の好きな人、下里 霧人(シモサトキリト)。
同じく高校三年。
彼は私と違って成績が良いから、志望校にも余裕で行ける。
羨ましい。
「先生何だって?」
「ちょっと進路のこと…。私頑張るからね!」
「うん?」
わからないといった表情。
だって霧人には同じ大学を志望していることは言ってない。
きっと迷惑になる。
勉強教えてと言ったら、霧人の勉強の邪魔になるから。
俯いて考え込んでいたら、後頭部をポンポンとされた。
顔を上げると、霧人が優しく微笑んでいる。
「大丈夫か?先生に何か言われた?」
「霧人…。ううん、大丈夫。行こっか」
そう言うと、二人で肩を並べて歩き出した。
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