呪解。 3 時々、胸が痛くなる。 そこには呪いの文様があるから。 不老不死の呪い。 この胸の文様があの時掛けられたものだと知ったのは、町の古い書庫で埃の被った古い本を見たから。 そこにはいくつもの文様が描かれており、それぞれの説明文が記されていた。 そこで見つけたのが不老不死の呪い。 術者にしか解くことはできない。 そしてその術者は遙か遠い北の島に住むといわれている。 俺は決意した。 この呪いを解く旅に出ることを。 だが、最愛の人を置いて行かなければならなかった。 いつ呪いが解けるかわからない。 ずっと町にいれば俺だけが置いていかれる。 最愛の人は年をとって、やがて時がくれば死ぬ。 呪いがある限り、俺は死ぬことはできない。 ましてや彼女と共に老いていくこともできない。 それならば、いつかは同じ土に還ることを誓って、呪いを解く方を選べばいいと思った。 そして、俺は旅に出た。 [*前へ][次へ#] [戻る] |