呪解。 2 一体何の恨みがあるっていうんだ。 朦朧とする頭を何とか持ち上げて、目の前にいる人物を睨んだ。 夏だというのに長いマントで体を覆っている。 見ているこっちが暑苦しい。 マントの男はスッと手を伸ばしてきた。 その手の甲には見たことのない文様が描かれていた。 そいつが何か呪文のようなものを唱え始め、それが何を意味しているのかと考える暇もなく、突然意識が遠くなったような感覚に陥った。 そして、気を失った。 それが呪いだと知ったのは、もう少し後のことだった。 時に人は永遠の若さと命を欲するものだ。 つまり不老不死の身体。 永遠を手に入れると同時に、失うものもある。 [*前へ][次へ#] [戻る] |