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CrossRoad
募る不安

 千晴と話してる間は全てを忘れさせてくれる。

幸せな時間――。


「由依……俺に何か話す事ある?」


電話ごしに聞こえてくる声が優しさに包まれてる気がして落ち着く。


「他はねぇ……通知表の成績がアップしてて嬉しかったよ。」


千晴には教えてもらえなくなったけど、私なりに頑張った。


周りも受験モードになってる分取り残されたくもない。


「ほんと?よかったじゃん。……他に大事な事、何かない?」


千晴にほめられた――。

ほんとは前みたいに頭撫でてもらいたいな……。



それにしても……大事な事って言われても特にないのに……。


それよりも千晴こそめぐの事とか何か言ってくれないのかな……。


「んー……ないよ……。……千晴は大事な話とか……ある?」


「特にないけど、大事な話っていうか……花火大会の日待ち合わせして一緒に周ろうぜ。」



凄い嬉しいっ――。


千晴はやっぱり私のして欲しい事をちゃんと分かってる……。


「うんっ。楽しみにしてるね。」



いつまでも話してたい……。


そう思うと今日もつい長電話になってしまった――。



電話を切ると淋しさが思いっきり込み上げてきて泣きそうになる。


辛い――。


早く会いたいよ……。



明後日には玖珠に戻ってくる。

明後日戻ってくるって言っても、時間が結構遅い時間だから会いに行かせてもらえない……。


その次の日も伊東くん達男友達で約束しちゃったらしくて会えない……。


せっかく戻って来てるのに花火大会の日まで待たなくちゃいけない……。


千晴は私に早く会いたくないのかな……。



それに、遠回しだったけど聞いてみたのにめぐの事は何も言ってくれないし……。



千晴の声が聞けなくなった事で、不安な思いが募って嫌な事ばかりが頭の中に浮かんでくる。



もしかして男友達と遊ぶって言ってめぐと会うんじゃ……。


ううん……。

千晴はそんな事しない。


前にも思ったはずなのに……。


不安で不安で押し潰されそう……。


頭を振って次々浮かんでくる嫌な考えを振り払う。



『……花火大会の日待ち合わせして一緒に周ろうぜ。』


嬉しかった千晴の言ってくれた言葉を頭に思い浮かべる。


千晴は私だけを誘ってくれたんだもん。




不安で泣きそうになりながらも千晴を信じる想いだけでやっと保てる心の安定――。



めぐとの事があって以来、時間が経てば経つほどに頭の中がぐちゃぐちゃになっていっていた――。



いつ爆発してもおかしくない位に―――――。



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