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CrossRoad
―――――

 ツンとさすような痛みさえ覚える冷たい風が身体を、ほほを、突き刺しながら通り過ぎていく。


ベランダの手すりに身体ごとあずけて何もない空間に手を投げ出す。


「また……、か…。」


今日は友達と話してても、何処か上の空だった。


「いつ言おう……。」

今までの事が頭の中をぐるぐる回って、断片的に言葉が溢れ出してくる――。


「学校終わったら勇治(ゆうじ)ん家に集合な。」

「ここに俺達3人の宝物1個ずつ埋めとこうぜ。」

「中学いったら俺達バスケ部なっ。」


とめどなく……溢れて止まらない。


お前達と一緒にもうバスケ……出来ないな……。


色んな事あったな……。



胸が熱い…頭も…目も……。


冷たい雫がほほを伝って線をつくる。


「……っく…ひっ…っく………ぐすっ……うっ………ううっ……………」


なんで………これからなのに………。


どうしようもないのは分かってる。


袖を使って綺麗に涙を拭きとる。

一緒に今までの事も拭きとれれば楽なのに……。


そんなの出来る訳無い。

少し、気が楽になった気がした……。


明日はちゃんと笑おう。


子供心に、淋しさを押し殺して明日を迎える決心をする。


永里千晴(ながさとちはる)――小学6年の冬――。


別れなんていつでも辛いものだ。

深く付き合えば付き合うほどに胸の痛みは強さを増す。



これから起こる新たな出会いと別れ――。


信じる気持ちさえあれば、きっと繋ぎとめられる絆――。


すべてはここから―――。


あきゅろす。
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