キミだけを抱きしめたくて
4
Ep.4「誘い」
その日の夜、直之はオンラインゲームをしながらチャットをしていた。
相手はもちろんトト。
っと言うか廃れすぎて直之とトトと後は数名、みんな古参メンバーばかりになってしまっていたのだ。
ふと、携帯が鳴る。
ディスプレイに表示されているのは見ず知らずの番号。
しかしながら仕事柄、出ないわけにも行かなくなってしまったので通話ボタンを押す。
「はい、芹澤です。」
「っあ、芹澤くん?」
「その声はトトか?」
返事のかわりにオンラインゲームのショートメールが飛んでくる。
『そうだよ〜』
「って、しゃべれよ!」
「あはは〜って、言うかトトはなしだってば!」
「っあ、ごめん」
「もぅ…」
「それで?どうしたんだ?」
「っあ…いや…芹澤くん明日は何か予定ある?」
「明日は普通に仕事だな。」
「えぇ…週末なのに?」
「かわりに月曜が休みだけどな。」
月曜はどうしても外せない用事がある。
だから、シフトを変えてもらったのだ。
「そっか…」
っとトトの悲しそうな声が漏れる。
ふとカレンダーに目をやり、隣の時計に目を移す。
(あぁ、そう言うことか)
「夜でよければ空けれるが?」
「本当?!」
「あぁ。土曜だから少しは早く上がれると思う。」
「ありがとう、芹澤くん!」
「場所は駅前でいいか?」
「うん!」
それから他愛も無い話をしていた。
「それじゃあ、そろそろ寝るね。」
「ん?あぁ。」
っと、時間を確認する。
丁度、日付が変わったときだった。
「おやすみ〜」
「あぁ、おやすみトト」
そして一言
「誕生日おめでとう」
「…ありがとう」
そう、今日はトトの誕生日なのだ。
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