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キミだけを見つめたくて
11

「朝から面白そうな話をしてるね?なんの話し?」

「いや、恒司のやつが珍しく早く来てるからさ。なんか良いことあったのかって」

「だからないって」

「っえ?無かったの?」

意外な切り返しに恒司は返事を返すのに詰まってしまう。

「…いや、少しあったけど」

「おぉ?」

「へぇ〜少しなんだ」

前者は芹澤、後者は碧理だ。
芹澤は好奇心に満ちた目で、碧理は笑うわけでもなくどこか思わせぶりな視線で見ている。

「な、なんだよ!」

「いや〜別に〜」

っと、にやけた顔で芹澤が近付いてくる。

「別にって態度じゃないよな?!」

思わず後ろに引き下がる恒司だが席に着いている以上引ける幅にも限度がある。

「まぁまぁ、芹澤君もその辺にしておいてあげたら?
どうせ課題もまだ終わってないんでしょ?」

助け船を出してくれた碧理を見上げると、碧理は芹澤の机を見ていた。

その机の上には開かれたままのノートとシャープペンシルが転がっている。

「やりたいのは山々なんだが先が詰まっててだな…」

「はぁ…もう少しちゃんと勉強したら?
授業中居眠りなんかしてないで。」

そう言いながら鞄の中を探る碧理。

どうやら手伝うつもりらしいが…

「いいよ、丸山さん
俺が教えるから。」

っと机から課題を写したノートを取り出す。

「お?サンキュー♪
話が早くて助かるぜ」

「調子の良いやつ」

「ほんとよ。少しは太田君を見習ったら?」

「俺が見習うのは鷲尾総一閣下だけだ!」

「…誰だよそれ」

「知らないのか?!鷲尾総一閣下はだなぁ…」

っと、芹澤が力説を始めようとしたが授業開始まで時間があり訳ではない。

早々に課題を仕上げてしまいたいのだが…

「ほら、課題!さっさとやる!」

っと普段とは違う気迫で言われ、芹澤は慌てて席につく。
恒司は哀れみのこもった視線を送りつつ、芹澤の隣に向かう。

そして、碧理を怒らせたら怖いと心のメモに記した。

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