小説 フェアリー隊 2 ダリス島航空基地 重盛 優友 視点 あの戦闘から2日… 格納庫内では、必死の修復作業が行われていた。 ワイバーンの損傷は思いの他ひどく、Bデッキが完全に吹き飛び、その影響で右翼が傷付き、翼は黒く変色していた。 俺のイーグルはと言うと… 「イレーナ!」 「はい!」 彼女はイレーナ・ロマ 一年前、俺がダリス島にいた頃、機体整備を担当していた。 「細部まで見ましたが、機体のフレーム自体に歪みが生じていますね。 オーバーホールしても治せませんね。」 やはりダメか… 「なんとか主翼を取り付けて、飛べるように出来ないか?」 「飛べるように…ですか?」 不審そうに尋ねてくる。 俺は頷いた。 「…お言葉ですが、飛べたとしても、戦闘機動は無理です。 他のパーツが吹き飛ぶか、あるいは…」 そこまで言ったイレーナを手で止める。 「飛べるだけでいいんだ」 しばらく黙っていたが、ため息をついたイレーナは 「仕方ありませんね」 と言って、機体に向かって歩き出した。 「主翼を取り付けるよ! 手伝って!」 っと叫び声が格納庫内に響き渡った。 ちなみに、当の本人はと言うと、頭に包帯を巻いている。 これは、衝撃で頭を打ち、出血していたのだ。 ちなみに、由貴には怪我は無く、今回の戦闘での負傷者はドラゴンフライの乗員8名と重盛だけだった。 「総隊長、そろそろ時間です。」 由貴が側に来てそう告げた。 「あぁ…」 っと答えたのだが、格納庫の出口を見て言い直した。 「…後10分待ってくれないか?」 「は?」 由貴の答えに笑顔で答えるとその場所に歩き出した。 [*前へ][次へ#] [戻る] |