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首輪(ヤンデレ同士)
「ねえ、真木っていつも黒いチョーカーしてるよね」
「うん」
「すごく似合ってる。カッコいい!」
「そう?ありがと」

俺は隣の席のミワから誉められたコレを軽く指にひっかけながらうっすら微笑む。

「これね、首輪なんだ」

そう言うと、相手は必ずびっくりした顔をする。そしてその真意を知りたそうに伺うような目で俺を見るんだ。
ミワも例にもれず目を丸くしてこちらを見ていた。

「え、え?何それ、どういう意味?」
「んー?ふふ」

でもね、これ以上は言わない。
だって超怖いんだもん、俺のご主人様。

「まーき!何話してんの?」

教室に入ってきた結城が俺達を見つけて声をかけてくる。
結城はいつも明るく爽やかでクラスのムードメーカーだ。立っているだけで周りをぱっと明るくするようなそんな存在で、男女共に人気がある。

「あ、結城君!聞いてよ、真木ったらさ、」
「こら、ミワだぁめ。しぃー、だよ?」

結城の問いかけに答えようとするミワを口止めするため、俺は自分の人差し指を相手の唇に軽く触れさせた。

「…っ」

ミワは俺の行為に驚いたのか顔を赤くして黙りこむ。
よしよし、いいコだね。

「…真木、相変わらずだなお前は」
「ん、何が?」
「やることがいちいちエロいんだよ。ねぇミワちゃん?」

結城が笑いながら同意を求めると、ミワはハッとこちらに顔を向け、「もうっ、そうだよ、恥ずかしいなあ」と一緒になって笑っていた。

「ところで真木、ちょっと職員室付き合ってくんない?さっき先生に配布物取りに来るよう言われたんだよね」
「うん、いいよ。じゃあねミワ」

ミワに微笑みながら結城と共に教室を出る。

二人とも無言で廊下を歩いていく。段々人気がなくなってくると、結城が俺の腕をぎゅっと掴んだ。

「っ結城、痛いんだけど」
「うるさい、黙れ」

さっきまでの爽やかな笑顔は消え失せて、冷たい目を向けてくる結城に、背筋がぞくりとする。

職員室をとっくに通りすぎているのに結城の足は止まらない。
どうやら俺は人気のない所に連れ込まれるみたいだ。

「…もう、何を怒っているの俺のご主人様は?」
「お前、それ本気で言ってる?」

図書準備室に押し込まれた俺は埃臭い室内に顔をしかめながら結城を見る。
結城は苛立たしげに掴んでいた俺の腕を離すと、俺が逃げられないように壁際に追い込んできた。
両腕で囲うように押さえつけられ身動きが取れない。

「俺の前で女に色目使うとか、何考えてんのお前」
「なに、それってミワのこと?色目なんて使ってないけど」
「お前に自覚がなくても周りからはそう見えてんだよ。あーうざい。誰からも見られないようにその顔切り刻んでやりてぇよ…」
「ちょっと、それはイヤだなあ」

俺が笑いながら答えると、結城が俺の首にかけられたチョーカーを掴み無理矢理引き寄せた。

「っ、苦しい、よ」
「これ、なんのためにつけたんだっけ?」
「…俺が、結城のものだって、常に自覚するように」
「してんの?」
「そのつもりだけど」
「全然足りない」

そう言うと無理矢理口付けされる。
そんながっつかなくたって、しろと命令してくれたらいつでもどこでも喜んでするのに。

でも、結城は人前では絶対に本音を見せないしそんな素振りも一切しない。
独占欲の塊みたいな本性を見せるのは俺の前でだけ。
こんな結城を知ってるのは俺だけだから。そんな身震いするほどの優越感に浸るため、俺はわざと彼を刺激するような言動をとり続ける。

嫉妬で怒りをぶつけてくるように俺を束縛する結城がたまらなく好きだから。

もっと、もっと俺だけを見て。

「好き、結城が好き…」
「お前、こういう時だけ素直だね。痛くされるの好きなの?マゾかよ」
「ん、結城限定でね」

結城の下唇を軽く噛み上目遣いで見つめると、彼の目の奥でゆらりと燃える焔が見えた。

「絶対に真木は誰にもやらない。お前は俺のもんだから。もし裏切ったら…俺、お前と死ぬから」


「うん。その時は結城の手で殺してね?」

俺は結城の首筋に唇を寄せて強く吸い上げた。
赤く、所有の証が印される。
これだって首輪と同じ。
たとえ消えたって、何度でも上書きできる。


捕まったのは、
囚われて、がんじがらめにされているのは…俺?それとも彼の方?


end.

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