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大好きの証明(小悪魔受け)

僕は自分で言うのもなんだがかーなーり可愛い顔をしている。そこら辺の女子には負ける気がしないくらい。
そんな僕には同い年の彼氏がいたりする。そう、彼氏が。

直弥は、元々女の子が好きな奴だけど僕の猛烈アタック&可愛さに負け(?)晴れて付き合うことになり、もうすぐ一ヶ月が経つ。
当然、僕にメロメロ☆の筈なのだが、実はちゅーはおろか手すら握ったことがない!

な ん で だ よ っ !

こんなに可愛い僕が(!)あまーく擦り寄ったって、華麗にスルーされる日々。
全く納得がいかないよ!!!

まぁ、どんなに顔が可愛くて身体が華奢でも、女の子特有のふわふわ感は僕にはないけどさ。
でも、直弥のことずっと好きだったんだ。だから諦めたくない。
『やっぱり女の子の方が良い』なんて言われる前に完全に僕のモノにしておかなきゃ!!

「ここはやはり色仕掛け…?」
「おーい、美貴ー」
「なおやっ!」

真剣に悩んでいるところに現れたこのヒト。
はいそうです。これが僕のスウィートダーリン直弥です。
長身ではっきりした目鼻立ちに人の良さそうな顔は、温和な大型犬を連想させる。
あ〜かわいぃっ!思いっきりもふもふしたいっ。

「そろそろ帰ろっか」
「うんっ。ねえねえ。今日、直弥の家に遊びに行っていい?」
「えー、良いけどうち何もないよ?」
「直弥がいればい・い・のっ☆」
「…ふーん」

…おい、ふーんて何だよ!!
僕がこんなに好き好きアピールしてんだから、もっと嬉しそうにしろよなっ。

今までは周りにチヤホヤされるのが当り前の日々だったから、直弥の素っ気なさがものすごく気になるんだよね…てか、愛されてる実感がほとんどわかないんだけど。
このままじゃ、僕不安で死んじゃうよっ!?

後ろから恨めしげにじとーっと睨んでみるけど、直弥全然気づいてない。
もう、ばかっ!鈍感っ!!



直弥の家は学校から割とすぐ近くで、僕は頻繁に遊びに行かせてもらっている。
直弥のお母さんはとっても可愛くて優しい理想のお母さんって感じ。
いつ行っても僕を快く迎えてくれる。
つき合ってることは言ってないけど、姑にいじめられる心配はなさそうだよ。なんちゃって☆

「お邪魔しまーす」
「どうぞ〜」
「あれ、おばさんは?」
「今日は出かけるって言ってたから、誰もいないよ」
「へぇ。そうなんだぁ」

…ふっふっふ。これはチャンス到来だぁっ☆

僕はにやにやしながら(キモい?)部屋に入り、定位置である直弥のベットにぽすんと座る。

「美貴、コーラでいい?」
「うん。てかお構いなくー」

制服のジャケットを脱ぐと、直弥は飲み物を取りに下へと降りて行った。
椅子に無造作に掛けてあるジャケットを広げてみる。
んーでかい。

なんか僕と直弥って大型犬と小型犬って感じだよなー。
ゴールデンの周りをチワワがキャンキャン言いながら駆け回ってるみたいな?
…っておぉい!それじゃ僕ばっかりが直弥を好きみたいじゃんっ。
そりゃ告白したのは僕からだったけど、でも直弥だって僕のこと好きだって言ってくれたし。
僕だけが好きな訳じゃない!…そうだよね?

僕の心配をよそに、のほほんとした顔で直弥が部屋に戻ってきた。
くそう、やっぱりかわいい。癒される…。

「お待たせしました〜。はいよ」
「ありがとぉ」

満面の笑みでジュースを受け取る。
僕はベットに座っていて、直弥はテーブルの近くに腰かけた。
…いっつもこんな感じの距離感。
ジュースを飲みつつも、僕は必死に直弥と距離を詰める方法を模索する。
つーかここは、ガンガンいくべきじゃない!?よし、いくか。いっちゃうぞ!?

「…なーおやっ。僕の隣、来て?」
「え〜」
「“え〜っ”て何!?てか何で嫌がるの!?早く来てよっ」
「はいはい」

仕方ないといった感じで直弥が俺の隣に座る。
…ちょっと隙間があるんですけど。密着してないんですけど。
まぁ、いいよ。いいですよ。
勝負はここからだぁっ。

僕は力の限り、目いっぱい可愛い顔をして上目遣いをしてみせる。

「ねぇ、ちゅーして?」
「え〜…」

また!また言った!!!
しかも目そらした!!!!!!!

「だから、なんで“え〜”って言うのっ!?」
「だってさ〜」
「だって何!?」
「…そういうことしたら、美貴きっと俺のこと嫌いになる…から」
「はぁ?」

なんで!?
嫌いになる訳ないじゃん。てか僕が“して”って言ってんのに、なんで僕が直弥を嫌いになるの??
意味わかんない!!

「…直弥、僕のこと本当は好きじゃないんでしょ。変なごまかし方すんのやめてよ」

うぅぅぅ。自分で言って悲しくなってくるんだけど。
…もう、泣きそう。

僕の目が潤んでいることに気づいた直弥が慌てて弁解を始めた。

「ち、違うよ。美貴のことまじで好きだし。もうめっちゃ触れたいよ。でも、」
「…なに?」

僕の問いかけに直弥は“あー”とか“うー”とか言いよどんでいたけど、ようやく決意したのか僕の方に向き直り、再び話し出す。

「…なんか俺、変なスイッチ入るみたいで。前の彼女にがっつきすぎてウザいって言われたことあるから…、だから美貴にそう思われたくなくて我慢してる、んです」
「…」

え、がっつくの?
直弥が僕に!?ウザいくらいに??
…そんなの全っ然想像つかないけど!!!!

でも。

「…いーよ?僕。直弥になら何されてもいー」
「美、」

直弥が言葉を発する前に、僕は直弥の口の端をべろりと舐めた。
目を丸くして僕を見つめる直弥。
だってこれぐらいしなきゃ、分かってくれないでしょ。
僕、もう限界だし。
てかむしろがっついてよ。願ったりだよ。

「ちょ…、もー知らないよ?」
「ん。僕の知らない直弥が見たい。見せて?」




大好きだから。
大きくて優しくて、僕に嫌われるのを怖がって躊躇しているところも
ぜーんぶ大好き!!!

だから、僕と同じくらい直弥も僕に夢中だってこと、証明してみせてね?







END

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あきゅろす。
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