2-7
パシッ
「……ーっ!」
次に聞こえてきたのは、ゴリマッチョな巨体がドスンと、地面に叩きつけられた鈍い音。
俺はというと…どこも痛くない
子犬先輩(もう名前決定だ)と、残されたゴリマッチョズが俺のことをまん丸に見開いた目で見ていた。
…………。
(やべーーー!!!)
今、完璧無意識だった!
パシッて音は、向かってきた拳を俺の右手で振り払った音。
ドスンは、その流れで俺がゴリマッチョの腕を掴み、そのまま勢いよく背負い投げした音。
投げられた相手は尻を地面につきながら怯んでいた。
まるで時が止まっているかのように、みんな静止している。
(逃げるなら、今?)
脱出だ!
「あ、逃げた!捕まえて!!」
ふふん俺自分の足には自信あるので!そんな子犬とゴツい奴には捕まりません!!
と、余裕かましてスタートダッシュを決めたら、
目の前に、また現れました。
「またゴリマッチョ!」
どうやら見張りもつけてたらしい。目の前に4人のゴリマッチョ。後ろにもゴリマッチョ。
ゴリマッチョ言い過ぎだから君たちは今後ゴリと呼ぼう。
「逃げられると思った?」
子犬先輩があざ笑うかのように俺に冷たい目線をおくる
その間にも、倒れたゴリ君は起き上がってすでに戦闘態勢に入っていた。俺に向けられているのは、完全に敵意だ。
(…まずい)
ここで殴り合いの喧嘩になったとして…1対数人。ボロボロになるのは完全に俺だ
体格の差が激しすぎる。俺の拳では明らかに軽い攻撃しかできない
逃げようにも、こんなに囲まれてたんじゃ…無理
とりあえず彼らの要望に従っておくしか解決策は思い浮かばなかった
「…お手上げですよ、先輩方。逃げようなんて思ってすみません。」
「なーんだ、もう少し抵抗してくれても良かったのに。」
「これ以上しても無駄ですから」
「そう…じゃぁ。」
こいつを涼鹿川様に近づくのがトラウマになるくらい殴って
と、この子犬先輩はさも嬉しそうな声でゴリ達に言い放った。
感情に比例して口元がつり上がり、なんとも言えないどす黒いオーラを放出している
っつーかトラウマになるくらいってどんだけ
…美形の無駄使いだと思う、ホントに
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