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そっちとあっちの恋愛事情
Turn.朔哉
「だったら黙っててよ。」
すっぱりと言い切った雲雀は骸に向き直るとまた文句をいい始めた。

「大体、君はなんで……」

くどくどと雲雀の口から途切れる事なく紡ぎ出される言葉に、ツナは他のところで感心してしまった。

(雲雀さん、こんなにも長く喋っていられるんだ…)

ツナはしゃべり続ける雲雀を見たことがなかった。
何時も二、三喋ると噛み殺されかけるからだったが、それでも雲雀は草壁さんにもこんなに喋りかけはしないだろう。


「ねぇ、聞いてるの!?」
「聞いてますよ、まったく…何がそんなに気に食わないのです?」
「君の存在自体気がに食わない。」
骸はうんざりとした表情で雲雀の文句を受け流し、溜息をついた。
それが雲雀を怒らせる事を知っているのだろうか。

「あの、骸も、雲雀さんも…ここ、道端なんですけど…」
もう一度小さく制止の言葉をかけてみるが、やはり聞いてもらえずもう帰ろうかと思ったとき不意に雲雀の視線がツナを捕らえた。

「…え、」
(もしかしなくても、俺はこの喧嘩に巻き込まれるの?!)
あぁ、だから嫌だったんだ…骸と雲雀さんがいていいことなんてあるはずがない。むしろ悪いことが立て続けに起きてしまうくらいだ。
これから俺はどうなるの?


「いいよ、もう。……終わり、」
「へ?」
「沢田綱吉が言うように道端だしね…もういいよ。」
少し拗ねたような、悲しそうな顔をした雲雀はそれだけいうと帰ろうとした。
しかし、それは骸によって止められる。

「雲雀くん、私は貴方と一緒にいたのですが…」
骸は雲雀を抱き寄せ、ぎゅっと抱きしめた。
そして互いが見つめ合う。
それだけでもう場に甘い雰囲気が充満する。


「何、この状況…」
さっきまでの喧嘩はどうなったとか、そういうのもあったが忘れては行けない重要な事があった。
ここは道端だ。
まばらだが、人通りはある。通行人は二人を見て、何やらこそこそと話していた。
そりゃあそうだろう。
こんなところで男同士が抱き合い甘い空気に浸っているのだから。

人が通るのも気がにせずいちゃいちゃする二人を止める術は何もないように思われた。


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