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プロローグ
ひらり、はらり

桜の花びらが散っていく。今日は穂高高校の入学式。
荘厳な雰囲気が漂う校門の前には、まだ幼さが残る顔、顔、顔―…皆不安と期待の入り混じった表情をしている。

「……。」

クラス編成の掲示板の前に群がる新入生を色素の薄い目で屋上から見下ろす少女がひとり。
風が吹くたびに、彼女の背中の中程まで伸ばされた淡い色合いの髪が揺れる。

「あ!やっぱりここにいた。」

騒がしい声とともに、屋上の扉が乱暴に開けられた。
彼女はゆっくりと振り向いた。

「寒っ!結構風強いね。」

寒くないの?という侵入者の問いに、彼女は視線を地上に戻し、

「寒い、かも。」

と答えた。
侵入者は「どっちだよ。」と少女に軽く文句を言いながら、彼女に近づきその華奢な腕を掴んだ。

「そろそろ入学式始まるよ。体育館に行かなきゃ。」

侵入者はそう言って彼女を屋上からさらっていった。



穂高高校生徒会メンバーが出会って、5年目の春が訪れた。

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