[携帯モード] [URL送信]

さよならは君のとなりで


新しい生活に対しての不安はあった。
しかし周りの友人に恵まれたのか、それほど辛いこともなくただただ日々を生きていた。
はじめこそホモ率の高さには驚いたが、楽しいこともそれなりにあったし、良い思い出も増えていった。
俺は両親や前の生活のほとんどを忘れていった。


…それでも月島悠斗のコトを忘れたことは一度もなかった。
アイツが憎い。好意を抱いていた分それ以上に憎いのだ。




そもそも、彼の何が好きだったのだろう…。…そうだ、思い出した。俺は小学生の頃、一度アイツに助けられたことがある。


当時、やはり虐められていた俺は彼のオレの前でくだらないことしないでくれるかな〜?という発言に助けられた。
彼の発言が持つ力は大きい。



月島悠斗とは、したいことをしていても嫌われない雰囲気があり、何をしても許される。彼の言うことは聞かなくてはならないと思わせる。
そんなカリスマがあった。
そのせいで我が儘三昧に育った彼の性格は最悪なものだがな。



しかしこの独特の空気感は俺みたいな暗いヤツから見れば憧れる。

まぁ気まぐれな彼のコトだ。その時の気分で言った発言なのだろうが、助けられた人間からしたらやはり忘れない。
そんな俺もこのことで不覚にも好意を抱いてしまったのだからな。



その分、あの仕打ちは残酷に思う。
救っておいて突き落とすなんてありえないだろ。

今までプラスだったものが一気にマイナスになった感じだ。
それまでのアイツの行動全てをマイナスに感じる。
俺は許さない、アイツを、一生な。

いつか復讐してやる。
いつになるかは分からないけど。
でも俺の人生が終わる前に絶対にアイツを後悔させてやる。
…やり方もまだ考えてないけど…。



そんなコトを考えながら、日々自分の傷を癒しながらぬるま湯のような心地良い時間を生きていた。
俺はまだ若い。
時間はまだ沢山あるのだから焦る必要はナイのだと思っていたのだ。

…しかし、そんな甘い考えの終わりは確実に近づいていた。



[*前へ]

3/3ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!