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さよならは君のとなりで

それは中学3年の出来事だった。
俺の通っていた中学は持ち上がり式なので受験という心配事もなく、日々穏やかに学校生活を送っていた。


そんなある秋の日、恐らく学年、いや学校1モテる男、月島悠斗に呼び出されたコトから始まった。ちなみに俺のクラスメイトでもあり、好きな相手でもあった。…先に言っておくが、俺は別にホモではない。月島悠斗という人間が好きなのだ。


「え〜っと、神崎玲くん?俺、君の事好きなんだけど、付き合ってくれない?」


月島悠斗がバイであるという情報はなかったし、よりによって俺に告白なんて何か変だとは思った。

しかしあの頃の純粋だった俺は決して叶うことのないと思っていた恋の相手に愛の告白をされ、舞い上がっており周りが見えていなかったのか、二つ返事でOKしてしまった。

…馬鹿だったよ。この後の展開は目に見えていたのにな。


そもそも少し考えれば分かることだろう。
どちらかといえば暗いめに分類され、顔立ちも平凡…以下。眼鏡。前髪が長くて表情が分からない。唯一の取り柄は頭の良さだけ。

…こんな俺に学校の人気者が告白するなんて、罰ゲーム以外のなにものでもないのだ。


結果、俺は見事に弄ばれた。一週間でファーストキスを奪われ、後ろの穴にまで突っ込まれそうになった。…手、早過ぎだろうアイツ…。しかも俺がネコかよ。
それでもアイツのコトが好きだった俺にとって、この一週間は不覚にも幸せな日々であったことは認めよう。



そんなある日、学年1の美人であり、月島悠斗に好意を抱いているであろうことで有名な浅井恭子が俺を呼び出した。
その内容は「この、ホモ!気持ち悪いのよ!!」等の暴言がほとんどであったが、他にも興味深い話をしてくれた。

その内容は以下の通りである。



ある昼休み、代わり映えのない日々に退屈した月島悠斗はある勝負を持ち出した。

それはトランプで負けた人は友人が一人もいない不気味でオタクな俺に告白するというものであった。
彼の言うことは絶対だ。男女問わずクラスほぼ全員がその何の得もない勝負に強制参戦した。
結果、言い出しっぺの月島悠斗が負け、彼の言う不気味オタクな俺に告白することになったのだ。…自分から持ち出しといて自分が負けるとか馬鹿としか言いようがナイと思うがな。

結構ありがちな話だが信じたくはなかった。放課後、あの会話を聞くまではな。




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あきゅろす。
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