さよならは君のとなりで 5 佐藤はしばらく月島と話した後に、俺に話しかけてきた。 「えっと、久しぶり…だよな!神崎玲って、あの神崎だよな?お前、変わったなー!」 …「あの」って…。 そうだよ、あのオタクで不登校で暗かった俺ですが何か? 基本的にコイツは思ったことをすぐに言う。 裏表がない奴だ。 イヤな奴ではないのだが、俺は佐藤が苦手だ。 「あのっ、」 俺が佐藤に記憶がないと言おうとしたら、月島が横から口を出してきた。 「翼〜、神崎ちゃんってばどうやら中学の時の記憶がないらしいよ〜??」 そうヘラリ笑いながら人の事情をサラリと言ってのけたヤツは「ね〜?」とこちらに同意を求めてきやがった。 俺のイライラはこの時点でMAXをこえようとしていたが、月島を俺に惚れさせる為に怒りを抑え込み、とりあえず頷いてみた。 「はー!?マジかよ!?てことは俺のこととか覚えてねーの?」 「…はい、すみません…。」 いや、今会うまで結構忘れてたが…、だって、佐藤とそんな話した覚えとかないし…。 一度か二度、月島を交えて話したぐらいだ。 「そうかー。…じゃあさ、月島のこととかも忘れちゃったのか?」 そう言いながら、チラっと佐藤が月島の方をみる。 …相変わらずヘラヘラしたままだ…。 何故だろう。イライラする。 「…はい、すみません。」 そういって俺もチラっと月島を見る。 …状態変わらず。 なんなんだコイツ…、 なんか知んねぇけど腹立つ…。 [*前へ] [戻る] |