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さよならは君のとなりで


こうして教室にたどり着いた俺達。

先生は先に入って事情説明。


で、とりあえず俺は教室の前で待機中。


しばらくそうしていると教室が賑やかになった。
そりゃまぁ、2学期も始まっちゃってるし、時期的におかしいもんな。
時期ハズレの転入生に注目って訳か。


「お〜い、入ってきていいぞ〜。」


…月島悠斗はいるのだろうか。

思考が一瞬で憎しみの黒で染まる。
笑顔が作れない…。

だめだ。
今はそんなことよりも、クラスメートに良い印象を与えることに集中しよう。
味方は多いにこしたことは無い。


気持ちを切り替える為に、一呼吸置く。

大丈夫、俺は大丈夫だ。

教室のドアを開けて教壇に立つ。
すると俺の評価が聞こえてくる。


「え!てゆーか結構良くない?可愛い〜!」

「あ、それ私も思った〜!可愛いよね!」



「やべー!俺好みかも!!」

「はぁ?あんた何言ってんのよ??ズボンはいてるんだから男の子でしょ?この変態!」

「は?マジかよ!?あの顔で男とか詐欺じゃね!?」



どうやら+評価のようだ。


だが1つ問題がある。
…女の子の反応はまぁ嬉しいからイイとしても、男共の反応はなんなのだろう?



騒がしい教室の中、担任の傍でしばらく待機していると、何か違和感に気付く。




見られている。


そりゃ、俺は季節外れの転校生で、今クラスメートの目の前でに身をさらしているのだから、視線を感じるのは当然だ。

だが、そういう興味関心などの視線とは違う。
もっとこう、蛇に睨まれるような…、俺が蛙なような…。

え?俺が獲物的な感じなのか…?
…俺が大蛇に丸呑みされている姿を想像して寒気がした。


いったい誰が…。

顔を上げてすぐにある人物と目があった。


月島悠斗だ。

そいつは、中学時代とは比べものにならないぐらい、憎らしいくらいに男前になっていた。
少し痩せて、やつれたようにも見えたが、間違いない。



幸運にも同じクラスだったようだ。

…やっと会えた。
これでようやくお前に復讐できる。


唐突に殴ってやりたい衝動にかられたが、ここは我慢だ。

俺は目が合った奴にニコリと微笑みかけてやった。


すると、あいつの周りにいたクラスの奴ら(何故か男共も)の顔は赤くなっていたが、月島悠斗は特に動じた様子もなく鳥肌が立つぐらい綺麗な笑顔を俺に向けた。
そして口パクで俺にだけ分かるように言った。



おかえり

と。




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あきゅろす。
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