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さよならは君のとなりで


とにかく復讐することは決まった。

次に俺が考えなければならないことはどのように復讐すれば彼の心に深く傷を残すことが出来るかであった。
そのことを考えるために俺はとりあえず病院の屋上へと向かった。


病室は真央がいるし、自分以外が全部白いので落ち着かないから考え事に適さない。


その点自殺防止の為か、フェンスがやたら高い屋上は檻のなかのような圧迫感がある。
まるで自分が鳥籠の中に囚われているような錯覚をおこすのだ。
なので人が来ない。
つまり一人で考え事をするにはぴったりの場所なのである。

真央はまだ俺が医者から診断を受けていると思っているだろうから問題ないだろう。



屋上のドアを開けると一面がモノクロの世界だった。


鉄格子のようなフェンスの隙間から見えた空は、重そうな灰色の雲をやたらくっつけており、ひどく醜かった。

その醜い世界を入口に立ち尽くして何1つ考えることなく眺めていたが、しばらくして雨が降っていることに気が付いた。


…出直そうか。かといって後になればなるほど決意が鈍ってしまいそうな気がする。
それに雨が降っているのなら人がくる可能性も更に減少するだろう。好都合だ。
とにかく雨を凌げる場所があれば良いのだ。



そう思い至って屋上を見回す。
すると給水施設のようなものの陰にちょうど2、3人ぐらい入り込めるスペースがあった。
ここから少し距離があったが、走ればそこまで濡れる心配はないだろう。
…医者からは走るなと言われているが特に問題はないだろう…。



そうして雨宿りスペースに到着した俺は調度座れそうな出っ張りを見つけ、復讐方法を模索し始めることにした。


しばらくそうして考えていると入口の方からドアの開く音が聞こえてきた。


…誰か、来たのだろうか?


「誰かいるのかい?」

高めな声だけどトーンは男の子っぽい声であった…。ハスキーボイスというやつだろうか。何にせよ心地の良い声だと感じた。


それにしても、
…どうしようか…。今は誰にも邪魔されたくないのだが…。

返事をかえさなければ、気のせいだと思い、ここから去ってくれるだろうか…
俺はそんな淡い期待を込めてあえて無視をするという選択をとることにした。


「…。」


「…いるのは分かってるよ」


…やはりそう上手くはいかなかったらしい。ふっとため息を一つついて声の主を探しながら答える。

「…どちら様ですか。」
いない。どこにいるのだろうか。


「さあ、誰だろうね。」

意外とすぐ傍で声が聞こえて驚いた。

「みつけた。」

と思っていたら見つかった。

顔をすぐ後ろにいる人物へと向けて驚いた。とても綺麗な男の子がそこにいた。金髪碧眼というやつだろうか、青い目を見たのははじめてだったが、凄く綺麗だと思った。




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あきゅろす。
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